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<ペンリレー>

発行日2007/03/10
中通総合病院  羽渕由紀子
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いざフルマラソンへ
 
 先日突然山王眼科クリニックの櫻庭先生からお電話をいただいた。患者さんのことかな?と思いきや、ペンリレーの原稿のお話であった。以前ペンリレーを拝読させていただいたときに、陸上の経験のおありの先生が、条件反射でついバトンを受けとるようにペンリレーを引き継いでしまった、とあった。私は陸上経験者ではないが、目下走ることがマイブームとなっている。私のような未熟者にもこれまでに2回駅伝出場の機会に恵まれ、そこで「たすきをつなぐ」快感を知ってしまったために「たすきをつなぐ」お話なら、とつい引き継いでしまった。
 私は陸上とは無縁、かつ無関心であったが、幼少時より入局後までも「頭より体が良く動く??」と光栄な評価を受けたスポーツ少女(現:おばさん)で、高校・大学はテニスを仕事のようにやっていた。しかしどんなに身体を鍛えていても大学を卒業し医者になったとたん、体を動かすことが皆無に近くなる。ことに眼科医は朝から晩まで暗室での座位生活となり、体力の衰えは必至である。
 40歳を過ぎ、いよいよこの状況が危険だなと感じ始めたころ、あまり運動をしないと思っていた同世代の友達から「10キロのマラソンレースに出ました!」とメールが来た。このときから私のジョギングライフが始まった。当時は京都市に住んでいたが、市内の中心を流れる鴨川の川べりは絶好の散歩やジョギングそしてデートコースでもある。自宅がそばにあったため、ジョギングコースには困らなかった。ジョギング開始初日、まずは次の橋までひとっ走りと走り出したはいいが、すぐに呼吸が乱れ、苦しくなり、足はもつれ、帰りは歩きになってしまった。それでも少しずつ距離を伸ばしていき、週3回くらいの早朝ランを続けた結果、半年後に10キロマラソンに出場し、59分というタイムで完走することができた。立派なゼッケンを胸につけ、一流選手になった気分を味わった。この時一般人が参加できるマラソン大会が各地であることを初めて知った。
 余談になるが、仕事と子育てで時間がない人にとって、ジョギングは場所と時間を選ばないため、とてもお勧めである。私も家族や仕事に影響のない時間として早朝ランを選んだが、そのために睡眠時間が1時間減ってしまった。しかし、仕事中眠くなることもなく、そればかりかしゃきっと目覚めて午前中の外来診療で調子が出るようになった気がする。 京都を離れる直前に四条大橋までの往復約10キロを景色を楽しみながら走り、慣れ親しんだコースに別れを告げ、秋田での新生活の記念にと田沢湖マラソン20キロにエントリーして秋田にやってきた。
 秋田では京都のようなジョギングコースがなく、最初は普通のコンクリートの歩道を走ることに慣れず、すぐに膝と股関節を痛めてしまった。いろいろな所を走ってみて、段差や信号が少なく、なるべく横断しなくて良いコースを探し、自分なりの5キロ、10キロ、20キロコースを作っていった。
 田沢湖マラソンの20キロは田沢湖1周である。比較的平坦なコースであるが、実はラスト5キロあたりで突如として立ちはだかる急で長い上り坂が現れる。そこからゴールまでは地獄のアップダウンが続く。私はそのことを全く知らなかったために、最後はかなり歩いてしまった。結果2時間13分。しかし昨年3回目のチャレンジで1時間56分まで縮めることができた。
 自分の中で20キロを2時間以内で走れたらフルマラソンに挑戦してみようかな、と考えていたところに今年第1回東京マラソンなるものが誕生する。石原慎太郎東京都知事の「世界の大都市にはニューヨーク、ボストン、シカゴ、ベルリンマラソンなど数万人規模のシティマラソンがあるのに日本にないのはおかしい。」という考えが実現したのだ。条件は他のシティマラソンと同様に制限時間を長くし、誰でも気軽に参加でき、完走できること。世界に誇れるコースとして東京の名所をまわれること。実現には多くの苦難があったようだが、新宿の東京都庁をスタート⇒ジョギングの聖地である皇居を半周⇒日比谷公園⇒東京タワー⇒品川折り返し⇒銀座⇒日本橋⇒両国⇒浅草雷門折り返し⇒銀座⇒歌舞伎座⇒月島⇒豊洲⇒東京ビッグサイトゴールという素晴らしいコースが誕生した。(本当はニューヨークシティマラソンを真似てレインボーブリッジを渡らせたかったが標高差の規定に抵触するため断念したらしい。)大会イベントや選手受付は東京ドームである。出場枠は3万人であるが、なんとそこに世界中から9万5千人もの応募があった。私も見事抽選に当たり、私の初フルマラソンがめでたく第1回東京マラソンとなることとなった。制限時間は7時間。目標は完走あるのみ。決戦の日は2月18日で、この原稿の締め切り3日後である。乞うご期待!
 次はお仕事でご多忙を極めつつも、プライベートではばりばりのアウトドア派の市立秋田総合病院の大谷節哉先生にたすき、いやペンを託します。
 
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