研修医の卒後臨床研修が必修化され、3年目になりました。種々のアンケート調査によれば、研修医にはこのシステムはおおむね好評のようですが、指導医には不評のようです。一昨年、大潟村で行われた秋田大学主催の指導医養成講習会に参加しました。昨年は秋田大学から推薦され、軽井沢で行われたプログラム責任者養成講習会に参加しました。大学に、講習会で学んだことを還元することなく、この4月に市立秋田総合病院に転勤しました。 講習会では、指導方法や研修評価などなど、様々なことを短時間のうちに学ぶのですが、とりわけ研修医のストレス解消に力が入れられていたように思います。2年間の研修期間中に、程度の差はあれ約40%の研修医が抑うつ状態に陥るのだそうです。その原因と問題解決についてはさておき、各自がおのおののストレス解消法を持つことが重要です。ストレス解消法には、その要件があります。好きなときに始めて好きなときにやめられること、自分一人でできること、です。いろいろありそうで、案外この条件にあてはまるものは少ないことに気がつきます。気心の知れた友達との長電話、ゴルフ、マージャンなど、相手を必要とするものはすべてあてはまりません。読書、ドライブ、ジョギング、風呂はOKでしょう。この数年、私は休日にはりらっくす(さとみ温泉の日帰り浴場)に行って、温泉と風呂あがりのビールを楽しみながら、読書をしています。 特に印象に残っている作品として、「邂逅の森」熊谷達也著;身分違いの恋のために村を追われたマタギの物語、「異形の者」柳蒼二郎著;異形の忍者と細川ガラシャの歴史小説、があります。最近は、主に遠藤周作の作品を読んでいます。昨年、長女の部活の顧問をして下さっていた先生(小学校の正採用教諭を目指す中学校の臨時講師)から、「深い河(ディープリバー)」を薦められたのがきっかけです。それぞれ立場の違う人たちが、インドのガンジス川をめざします。みすぼらしい身形をした神学生が印象的です。「白い人・黄色い人」、「海と毒薬」、「侍」、「私が棄てた女」、「沈黙」、「彼の生きかた」と本屋に並んでいる文庫本から手当たりしだいに読み進めてきました。私だけの思い込みで間違っているかもしれませんが、登場人物の個性がいずれの作品にもある程度共通しています。襤褄を身につけ、どこまでも他人に尽くすお人よしが登場します。それをいじめるサディストも登場します。各々が、ある作品では主人公であり、また別の作品では脇役として書かれています。情景描写が巧みで、非常に読みやすい文章です。当分、彼の作品で楽しめそうです。 先に、ゴルフはストレス解消法の要件を満たさないと書きましたが、趣味としては楽しいものです。長年、大好きだったゴルフを半ば封印していましたが、新任地での診療も概ね軌道に乗りましたので、封をとき、プライベートでもコースに出てみようと思っていますメンバーが足りないときに、お誘いいただければ幸いです。
次回の執筆者は、秋田赤十字病院泌尿器科塚田大星先生にお願いします。
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