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<ペンリレー>

発行日2006/10/10
秋田緑ヶ丘病院  早川和夫
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祝 早稲田実業高校
 
 秋大同期の桑原先生からバトンをいただいて筆をとって(というよりはワープロをたたいて)おります。
 僕は個人的にはスポーツは不得手なのですが、スポーツ観戦は大好きで、特に正月に行われる「箱根駅伝」と夏の高校野球は、毎年、楽しみとしていますので、今、旬でもある夏の甲子園について書かせて頂きます。
 今年、いわゆる伝統校の一つである早稲田実業高校が夏三連覇をねらう駒沢大学附属苫小牧高校をやぶり悲願の(夏)初優勝をとげました。「世代最強エ一ス」こと田中将大選手、「クールな剛腕」あらため「ハンカチ王子」こと斎藤佑樹選手。両投手の投げ合いは圧巻でした。早実は第一回大会(ちなみに同大会では秋田中学一現秋田高校が準優勝しています)からの出場とのことで88回目の挑戦での全国制覇です。
 今大会の決勝戦はご存じの通り延長15回、規定による引き分け。再試合での結果です。これはやはり球史に残すにふさわしいのではないでしょうか。優勝した早実は同校出身の偉大なる王貞治監督(ソフトバンク)の闘病を背景として選手が一丸となり、惜しくも三連覇を逃した駒大苫小牧は不祥事による今春大会の出場辞退を乗り越えての決勝戦でした。試合後、優勝を勝ち取った斎藤投手が涙を流し、一歩及ばなかった田中投手がとてもすがすがしい笑顔を浮かべていたのが印象的でした。田中投手は、今ある自分の実力を全て出し切って、そのうえで最期にほんの一歩、頂点に届かなかっただけという充実感(達成感)が表出したのでしょう。
 それにしても苫小牧は3年連続の全国大会の決勝戦進出であり、昔はともかくとして、現在の高校野球のレベルを考えると奇跡に近い偉業と考えます。僕の知る限りにおいては、あのKK (桑田、清原)を擁するPL学園高校が優勝、準優勝、優勝と、やはり3年連続の決勝戦に勝ちあがったのに続いての戦後、2校目です(間違っていたらごめんなさい)。もちろん実力、努力といった要素は欠かせないでしょうが、加えてきっと運も味方にしなければなしえないことでしょう。それを成し遂げたのが秋田よりも北にある高校であるのが驚きです。 
 その後、早実の選手は華々しく東京に凱旋し、斎藤投手は今や時の人です。同選手が使用していた青いハンカチは同種のハンカチがネットオークションに出される程の反響ぶりです。同校のベストエイトに至る組み合わせブロックには、今年の春の選抜優勝の横浜高校(神奈川)、同準優勝の長崎清峰高校、戦前優勝候補にあげられた大阪桐蔭高校といった強豪がひしめいており、その中を実に危なげなく勝ち上がり、貫禄さえ感じられる戦いでした。実に立派です。 
 思い起こせば26年前(1980年)の夏、早実の荒木大輔投手(当時1年生)が故障のエースに代わって好投。決勝戦まで上り詰めました。決勝では愛甲投手擁する横浜高校に敗れましたが、その年に生まれた男の子の名前に「だいすけ」が多く選ばれ、それから18年後、多くの「だいすけ」君が高校野球ばかりでなく、高校サッカーでも活躍しています。いわゆる「松坂世代」です。それを考えると今年はおそらく「ゆうき」君が多く誕生することでしょう。
 この原稿を書いている8月下旬、全日本高校選抜で早実の斎藤投手と駒苫の田中投手が一緒に練習しています。二人は熱い戦いを経て、今は「ユークン」「マーチャン」と呼び合っているようです(ちなみに同選抜の合宿では相手を名字で呼ぶのは禁止)。二人の今後の活躍を祈りつつ、つたない文章を終えたいと思います。
 次は、おのば腎泌尿器科クリニックの佐藤良延先生にお願いします。
 
 ペンリレー <祝 早稲田実業高校> から