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<ペンリレー>

発行日2006/03/10
岡田病院  岡田 理
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美容皮膚科雑感
 
 世の中の美肌・美容ブームはとどまる事を知らない。ここ数年の間にアンチエイジングという言葉が聞かれるようになり、皮膚科の世界でも「しみ」、「しわ」等に対して抗加齢医療が施されるようになった。また、最近では男性型脱毛症の内服薬が販売されるなど、この分野の進歩は目覚ましいものがある。
 ケミカルピーリング、トレチノイン、ハイドロキノンなど、私が医師になった頃は耳にすることがなかった語句である。何とか理解しても、更に次々と新しい語を覚えなければならず、少々の学習では美容学の進歩に追いつかない状態である。
 皮膚科の学会に行けば美容関係のセッションは開始前から満員で、会場の外で聞いている人までいる盛況ぶりである。以前はアトピー性皮膚炎のセッションがこうであったが、患者数が減ったわけでもないのに現在はこのような混雑は見られなくなった。
 皮膚科の書籍コーナーを見ても、昔からあるものに混じって、有名大学の教授監修の「美容」と名のつくものが何冊も出版されている。
 人間は年をとるのに従い肌も老化し、しみやしわが出てくるのは当然のことであり、避けては通れないものと思っていた。ほんの数年前までは「しみ」の治療といえばビタミンCやトラネキサム酸の内服くらいしかなく、患者にもこれ以上の治療はないとあきらめてもらっていた。これが美容皮膚科の発達に伴いレーザー等の各種の治療でかなりのしみが薄くなり、患者の満足度も高くなってきていることは喜ぶべきことなのであろう。
 当院でもこれらの治療を希望する患者が増加してきたため、2年前より美容の外来を設けた。私が行うのでは心もとないので、一切を同じ皮膚科医である妻に任せた。レーザー機器を3台購入し、シミや難治性のにきびの治療や脱毛等を行っている。
 当院に訪れる美容関係の患者はほとんどが女性なのだが、最近は男性の患者もちらほら見受けられるようになった。しみの治療に訪れる男性のほとんどは会社の社長さんなどのステータスの高い方のようである。
 高名な皮膚科の某先生が、「金欲、性欲、食欲、名誉欲に加え、女性には年齢を問わず自己表現として美容欲がある」と述べていたが、どうやら最近では男性にも美容欲というものがあるようだ。
 今後、この美容・美肌が単なるブームで終わるのか、それとも皮膚科医に定着するものなのか興味深く見守っていきたい。
 思えば私の顔にも幼少時からあったそばかすに加えて、老人性の色素斑がちらちらと見られるようになった。顔全体も小じわが増えて、「老けたな」と感じることも一度や二度ではない。せっかくいい機器を備えているのだから、私も肌を若返らせたいと妻に相談してみたが、そのうちにと言われたまま忘れられている。
 次は大学の同級生の秋田メモリアルクリニック渡辺克夫先生にお願いします。
 
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