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<ペンリレー>

発行日2005/11/10
中通総合病院  福田光之
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公開質問状を兼ねて 「秋田市医師会長殿 医師会も~
 
タイトル:公開質問状を兼ねて
     「秋田市医師会長殿 医師会も私的医療機関を差別するのですか??」

 人生って一歩先のことは解らないものです。
 最も遠い場所に居たはずの私が、何故か中通総合病院の院長に命ぜられました。
 医学部入学時、自己負担分たった2万円しか納入せず、全て税金で医師にまで育てていただき、10数年間公務員として給与もいただきました。
 私的医療機関に勤務して20年、社会へのお返しの気持もあって、随分働きました。
 本気でそう思っています。
 私は今年還暦を迎えました。もう充分社会にもお返ししたと思い、この機会に一端退職
し、嘱託医として患者さんにだけは医師としての責任を果たしたいと考えていました。更に、自分へ慰労の意味で、今秋にはちょっと時間をいただいてザルツブルク、ウイーン等で音楽三昧にひたるつもりでした。
 しかし、法人は私にもっと働けと命じてきました。中通総合病院は若返りが必要です。10年若ければいざ知らず、正直言ってもう院長など引き受けるような年ではないし、ちょっとガックリ来ました。
 就任した以上は、来るべき日迄は誠実に職務を果たそう、秋田市の医師会活動にもこれまで以上に協力せねば、等と心を入れ替えました。
 数多くの方々から激励の言葉をいただきました。本当に有り難いことです。この場をお借りして御礼を申し上げます。
 先日、秋田市医師会理事である当院の菅原医師が訪室しました。院長になると市医師会の年会費がほぼ倍額に増えることで、わざわざご丁寧に「就任のお祝いと会費値上げ通告の遣い」でもよこしたのか、そこまでしなくとも良いのに、市医師会もやるモンだね、と恐縮しました。しかし、その割には彼の何か表情が冴えません。いつものサラッとした笑顔がないのです。何かすまなそうな表情で手に一枚の書類を持っています。「?」と訝りながら受け取ったら「平成17年度秋田市医師会会費等賦課徴収規程」でした。やはり、会費値上げの通告か、ご丁寧に赤線まで引いてくれています。
 何と!会費値上げだけでなく、私への20万円の一時負担金の徴収の知らせでありました。
 就任以来、業務量が著増し大きな負担になっているというのに、今度はお金の負担です。現実には当直も出来なくなるから収入も減るというのに、ご丁寧に速やかに、とあります。開業一時金の存在は知っていましたが、勤務医にもこんな一時金徴収の規程があるなんて、不覚にも私は全く知りませんでした。
 要するに、勤務医が院長になった場合、納めるべき理由は全く解りませんが、秋田市医師会に開業一時金と同額の一時金を支払えと言うものです。私は医師会在籍5年以上だから20万円だけれど、これが在籍1年未満だったら50万円とのこと!フーン、当院の前院長も、市立秋田総合病院院長も、秋田赤十字病院、秋田組合総合病院の院長も払ったのか、この分だと大学医師会から移ってきた成人病医療センターのセンター長は50万円か、気の毒だね。並み居る諸先輩が払ったのならば仕方がない、と半ば心を決めて規程を読み返してみました。その途端に言いようのない怒りが沸いてきました。
 何と、この規程の対象が私的医療機関の院長だけ!!、でした。
 参考までに、秋田市医師会会費等賦課徴収規程の文面は以下の如くです。徴収額は開業時の一時金と同額です。

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 第8条 医療法人立診療所及び病院に関して次の通りとする。
 (1)同じ医療法人の下に新規の医療施設を開業する場合は、一時負担金は別途に
  徴収する。
(2)開設者(理事長等)が変更になった場合、一時負担金を徴収する。
(3)開設者と異なる院長(勤務医)が変更になった場合は、本院については
一時負担金を徴収するが、分院については一時負担金を免除する。
 第9条 一時負担金は、入会または異動後に速やかに納入するものとする。
 第10条 この規程により難いときは、理事会に諮って決定する。

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 この、あの手この手でお金を徴収しようとする姿勢と、「医療法人立診療所及び病院に関して・・」が問題です。私が特に注目したのは後者の方です。何故、自治体立医療機関、公的医療機関の院長は対象にせず、医療法人立の院長だけなのでしょうか。
 これは完全に私的医療機関に対する差別でしょう。
 私的医療機関は立派に機能を果たしていながら行政から不当に低い扱いを受けていること、公的医療機関に対する逆の扱いに、私は強く不満を感じており、この点にとても敏感です。先に、秋田医報の巻頭言に「県は私的医療機関を軽視して扱っていないか」を書きました。
 この公私差別が、秋田市医師会でもなされていたことに対して私は驚きを禁じ得ません。この規約は最近作ったと言うことで、幸い私が最初の対象者なのだそうですが、執行部はこの公私差別の点を一体何と考えて討議を進めたのか、を知りたいものです。
 秋田市医師会はこれほどまでしてお金を徴収しないとやっいけないのでしょうか。
 市の医師会は「私的医療機関の負担で運営する医師会」なのでしょうか?
 早速、市医師会事務局に電話で付加金徴収には納得できない旨を伝えました。直ぐに理事会で検討いただいたようで、その翌日、菅原理事から今回は徴収を免除する旨決まったとの知らせがありましたが、それは当然、私の予想の範囲でした。
 納入が免除されたからといえども、会員は各資格にとって平等であるべきと考える私にとって、この条文自体や条文の背景になっている理解不能な、不平等な考え方がある限り、何も解決になりません。
 だから、市医師会報のペンリレー欄の趣旨にはそぐわないとは思いましたが、せっかくの機会を利用させていただきました。ついでに、以下のごとくの公開質問状を用意しました。医師会長からご説明いただきたいと思います。
 また、次回の総会で私は「秋田市医師会会費等賦課徴収規程」改訂の動議を提出するつもりです。

秋田市医師会長への公開質問状
 この度、院長就任にあたり私あてに秋田市医師会から一時付加金を徴収するとの連絡が来ましたが、以下の点で納得出来ません。結果的に今回は適用されない旨連絡を頂きましたが、それでは何も解決しません。以下の点にご説明を頂きたいと考えます。

 ● 何故、一時金が医療法人立診療所と病院のみが対象になるのでしょうか?
  設立母体が国公立、公的とされる病院の院長を対象から外した理由は何でし
  ょうか?
 ● 医師会会員は病院開設者、勤務医、診療所開設者、診療所勤務医等に区別
  され、会費も異なっていますが、同一の資格において会員は公私の別なく平
  等でないのでしょうか?
 ● 賦課徴収の請求は会員個人になされますが、施設によっては院長就任が一
  時金徴収に見合うだけの報酬増を伴っているとは限りません。ちなみに私に
  請求のあった20万円という額は院長就任に伴う報酬増加分のちょうど20ヶ月
  分に相当する上、具体的には収入減になります。もし徴収するなら院長就任
  による所得増をお調べになってから、会費と同様にそれに見合う額を割り振
  ってはいかがでしょうか。
 ● この規定は何時、どの様な経緯を経て決められたものでしょうか?この規
  定に関与するであろう医療法人にそれなりの広報をし、意見を聴取した上で
  決定したのでしょうか?少なくとも私どもの病院では誰一人として知ってい
  る関係者は居ませんでした。

追記
 開業会員は開業時に何故か一時金負担が求められています。私はこれ自体理解不能な、不当な(?)徴収だと考えていましたが、これは基本的に開業会員自身の問題であり、誰からも公にクレームが出ないことを不思議と思いつつも、自分からは敢えて問題提起はしていませんでした。この度の会費徴収規程の改定は多分、「開業会員だけに負担を強いるのはおかしいから、医療法人の医師や理事長にも対象を広げ同額を負荷しよう」という意図なのだと理解しています。
 今回の改訂で私も対象者の一人に入ってしまい、その資格が出来たので問題提起させていただいているのです。疑問がいろいろあります。
 大体、この開業時の一時負担金って何のためにあるのでしょうか?市医師会員のみなさん方、特に開業医の方々はこの徴収を当たり前のことと思っておられるのでしょうか?会費も決して安くないのに、この開業時の一時負担金は開業される方々にそれほど負担にはなっていないのでしようか?一時金にクレームを発したり納入を拒否した開業医はいないのでしょうか?私にとっては理解出来ない負担金ですが開業時の一時負担金自体のありようは誰からも問題になっていないのでしょうか?また今回は敢えて徴集の意義を問題にしないで対象者を広げる選択をしたのでしょうか?それほど市医師会は運営費用が不足しているのでしょうか?開業医のみなさん方はどの様な説明を受けて、どの様に納得されて開業一時金を納入しているのでしょうか?あるいは理解しないまま慣習だからと納入しているのでしょうか。
 これほどの負担金を徴収され、納入しながら、何で医師会員の皆様方は制度や会務等に無関心で、あるいは無言でいられるのでしょうか?私は不思議でなりません。
 私は、今回請求があった一時金を市医師会運営費用への寄付金として協力を求められたのならば多分寄付したと思います。開業時の一時負担金も同様に寄付金にすべきと考えているからです。
 市民、県民に対して良い医療を展開していくためにも、私ども医師の権利と義務を果たすためにも、医師会は絶対に必要です。市医師会のさらなる発展を願っております。
 今回のペンリレーへの投稿の機会は9月号を担当した長沼雄峰先生から与えられました。次回は赤羽仁三先生にお願い致しました。
 
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