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<ペンリレー>

発行日2005/10/10
阿部眼科  阿部 徹
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ワープロ専用機
 
 この原稿はNECのパソコンで書いています。ワープロソフトはマイクロソフトのワード2003です。原稿をプリントするには、エプソンのプリンターを使用しなくてはいけません。原稿を印刷するには、1)パソコンを買って設定する、2)ワープロソフトをパソコンにインストールする、3)プリンターを買って設定し、プリンタードライバーをインストールする、という面倒な手順が必要です。もし、何も持ってない人が、今日の夜まで原稿を仕上げなくてはいけない状況になったらどうでしょう。仕事帰りに電気屋でパソコン、ワープロソフトとプリンターを買っていっても、設定に要する時間が必要で原稿はできないでしょう。ところで一昔前には、仕事帰りに電気屋で買ってすぐ原稿ができる機械がありました。ワープロ専用機です。
 多くのワープロ専用機は、設定不要、ソフトインストール不要、プリンター内蔵でした。最大の利点はスイッチを入れて数秒後にはすぐに文字を入力できること。パソコンにつき物の、フリーズ(入力を全く受け付けない状態)は、ほぼ皆無。以前のマッキントッシュOS9までのと、ウインドウズ98、Meは特によくフリーズしたものです。入力した原稿内容が保存できずに何回も同じ原稿を入力せざるを得ず、立腹したものです。
 私にとってはワープロ専用機の方が、歴史は古いのです。昭和59年、秋田大学の眼科学教室に入局しました。その年にシャープのワープロ専用機が一台、医局(個人でない)に入りました。サイズは、今の大きなデスクトップパソコンなみので、プリンターは別添え、文書保存媒体はフロッピーディスクでした。フロッピーディスクと言っても現在でも使用される3.5インチではなく、硬いケースには入っていない5インチ(正確に5.25インチのようです)のものです。今はもう売っていないとのこと。平成13年3月に国内最後のメーカーであった日立マクセルが5インチフロッピーディスクの製造を中止し、現在では入手は困難になっているようです。そのワープロ専用機の価格は100万円ということでした。高価。それまでは原稿用紙に記述していたので、一文字訂正するだけで新しい原稿用紙への書き直しが必要でうんざりしていましたので、画期的な商品だと思いました。学会前は一台しかないワープロ専用機に複数の医局員が順番待ちしていました。
 次第にワープロ専用機も、我々医局員が個人で購入できる程度に安価になってきたので購入することにしました。文書保存媒体は3.5インチフロッピーディスクでした。プリンターは内蔵されていました。医局のワープロ専用機との互換性を考え(納入会社が5インチ→3.5インチに変換してくれました)シャープ製(ブランド名:書院〉にしました。個人的には4台の書院ワープロを更新して使っていました。昭和63年からのアメリカ留学の際にも電圧変換機を携えて書院ワープロを持参しました。留学から帰国後も書院ワープロを使い続けていましたが、他県に住んでいる大学の同級生から「e-mailで連絡がつかなくて不便だ」「え一、パソコン持ってないの?」と非難されて、仕方なくパソコンを買いました。医局のパソコンがマッキントッシュでしたので、同じにしました。前述のように良くフリーズしたので、e-mail以外はあまり使用せず、書院ワープロの補助的に使用していました。そのうち、一度キーボードで入力した情報を、論文、スライド、講義などと使いわける必要にせまられてきたので、パソコンヘ次第に移行していきました。現在では、私はもうワープロ専用機は処分してしまい所有しておりません。
 ところで、最初の日本語ワープロ専用機は、東芝JW-10で昭和54年(1979年)に発売されましたが、価格630万円で、記憶装置が10MBハードディスク、8インチフロッピーディスクとの記載がありました。8インチフロッピーディスクは、見たこともありません。平成13-14年(2001-2002年)ごろのシャープのワープロ専用機が最後の市販品とのことです。一世を風靡した商品の誕生から終焉までの時代と共に歩むことはめったにないことではないかと思います。
 次回の執筆は秋田赤十字病院血液内科の大嶋厚志先生にお願いいたします。
 
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