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<ペンリレー>

発行日2005/07/10
早川眼科医院  早川正明
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わが水泳との長い関わり
 
 私は、昭和54年3月からこの歳になるまで、飽きもせずにスイミングスクールに通っています。時間は午後6時40分から7時40分までの1時間ですが、都合のつく日を選んで、週2回プールで泳いでいます。
 私が水泳を始めたきっかけは、昭和54年の新年早々、突然右肩に激痛が走り、整形外科の先生に肩関節周囲炎、いわゆる四十肩と診断されたためです。先生から「このままにしていると関節が拘縮してしまいますぞ」と脅かされ、帰り際に「じっと安静にしているよりは、ゆっくりと大きく動かしていたほうがいいですよ」とご親切なアドバイスをいただきました。その頃偶然目にしたのが、スイミングスクールの生徒募集の広告でした。水泳ならば強い衝撃を受けずに肩の回旋運動が出来るのではないかと思い、治りたい一心でなんのためらいもなく入会申し込みをしました。それまでいくらか水泳の心得はあったつもりでしたが、いざ25メートルの短水路プールをクロールで2~3回往復してみると、息苦しくなり、頭もくらくらしてきました。当時の私は、体重70キロ、ズボンのウエストのサイズが88センチのいわゆる太めの運動不足のおじさんでしたから無理もありません。その頃、秋田市医師会報に川原浩先生の「わが肥満との闘争」という表題(正確なタイトルは失念)で、水泳をして減量に成功された随想文が掲載されました。それに触発されたわけでもありませんが、四十肩のリハビリと自分の惨めな初体験を克服してみたいという気持ちで、一念発起してスクール通いを始めました。それが、「わが水泳との長い関わり」になるとは、そのときは夢にも思っていませんでした。
 スクールに2~3年も通って泳ぎの基本の手ほどきを受けると、誰でも何となく泳げるようになってくるものです。四十肩も半年で治癒し、太鼓腹もずいぶんと引っ込んできて身軽になってくると、今度は泳ぐのが楽しくなってきました。今から思うとがむしゃらな泳ぎ方でしたが、スタイルなどには構わず、まず記録に挑戦するようになりました。25メートル自由形で17秒を切った時には、やったぞ!という気分でした。調子に乗って市民水泳大会、東北マスターズ大会、全国マスターズ大会にも出場しました。現在はその時よりは、理にかなったスマートな泳ぎをしているつもりなのですが、なにしろ加齢によるパワー不足で20秒を切るのがやっとです。
 私の通っているスクールは、初級、中級、上級と3クラスに分かれており、自分の力量にあったクラスを選んで練習することが出来ます。各クラスとも女性が圧倒的に多く、華やいだ感じです。各クラスにコーチがついて懇切丁寧な指導をしてくれます。かわいいハイレグの女性コーチもいます。私のいる上級クラスについていえば、200メートルのウォーミングアップに始まり、コーチのメニューに従い泳ぎます。競泳にはクロール、平泳ぎ、背泳ぎ、そしてバタフライの4種目がありますが、日によって重点種目が変わります。それぞれの泳法に特徴がありますが、基本は全て同じです。水の中での抵抗をなるべく少なくするために両手を頭の上に伸ばし体全体でストリームラインを作ることです。要はストレッチをして真っ直ぐに伸びることです。そんなことできっこないよとおっしゃる方がおられるかも知れませんが、私のように肩の関節が硬く腰痛持ちでも、水の中ではなぜか出来るのです。あとはゆっくり手で水をキャッチ、プル、プッシュし、足で水をキックすれば、年齢に関係なく余分なエネルギーを浪費せずに泳ぐことが出来ます。1時間で1300~1500メートルほど泳ぎますが、各レーン3~4名が一人づつ次々に泳ぎますので、ついつられて時間一杯泳いでしまいます。たまには練習日以外に会員プールで自主トレをすることがありますが、40分も泳いでいたらいい加減飽きてしまいます。私が長続きしているのは、スクールに入っているからだと思っています。水泳仲間には、中通病院外科科長の田中雄一先生もおられ、きれいで豪快な泳ぎを見せてくれます。他のクラブで泳いでいらっしゃる方もおられると思いますが、長続きするためには是非スクールに入ることをお勧めします。水泳は、団体競技ではありませんので、相手もいりません。したがって自分の都合に合わせて泳ぐことが出来ます。それに室内プールは温水ですので通年できるスポーツです。皆さんも思い切って始めてみたらいかがでしょうか。初めて泳がれる方には、インターネットのホームページ「てっちゃんの水遊び」が参考になるかと思います。
 私の長い水泳人生を振り返ってみると、40歳代は技術の習得と記録への挑戦でした。週3~4回プールに通ったり、早朝練習に参加したこともありました。50歳代になりますと、あれ?今までと何となく違うぞといった体調の変化を感じるようになり、少し鍛えなければと体力づくりを目指しました。水泳は有酸素の全身運動です。指先から足のつま先までバランスよく体を動かすので体力増進には手軽で最適だと思います。60歳代になって、体力づくりの限界を悟り、体力維持へと目標をスライドさせました。それにストレス解消も目標の一つに加えました。62歳の時に妻を天国に送り、当時の私は少しうつ傾向にありましたが、泳いでいる間はまったく無我の境地となり、水泳のおかげで苦しくつらい時期をなんとか乗り切ることが出来ました。今年私は古希を迎えますが、これから先、年々体力の衰えは免れません。あくまでもマイペースの泳ぎに徹し、その日皆と一緒に泳いだ、という充実感と満足感を得ることを目標にしたいと思っています。そして、もし80歳になるまで生き長らえることができたならば、その後は、生きている証しとしての水泳を続けていくつもりでおります。

 
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