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<ペンリレー>

発行日2004/08/10
濱島医院  濱島昭雄
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小旅行
 
 鎌倉、江の島の旅行といえば東京の小、中学校の遠足の範囲であり、特別珍しい事ではなかったが、私は6月7日に、グループで行われたこの小旅行に参加したのには、特別な意味があったからだった。
 一つは私が三、四才の頃、両親が療養のため、茅ヶ崎に居り、その頃の防風林は私の背の高さ程のものであったし、この湘南海岸で泳ぎを憶えたものだった。この度宿泊した江の島から対岸をみると、夜景が眩しく輝いているのを遠い記憶と共に時の流れを感じざるをえないものがあった。
 二つ目は、時代錯誤といわれるかも知れないが、旧海軍兵学校、工八○一分隊の分隊会がこのコースで開かれたことだった。一昨年は秋田で私が幹事として持った会で全国から集まる二年に一回の開催ということになっている。
 旧海軍兵学校では最高学年の生徒は一号生徒となっており、二号生徒三号生徒と学年により呼ばれるが、特に海軍生活においては、「責任はあるが素晴らしい立場」は連合艦隊司令長官と兵学校一号生徒といわれる。それ丈に私にとっては、想い出に残る一号生徒生活を送り得たことだった。兵学校での分隊は三学年それぞれ揃って一分隊を形成し、課業(学科授業AM8:30~PM3:00)以外の起床、食事、訓練、自習、就寝、は皆各分隊別に行われる。全く同様の環境の中に上級生から下級生へと、言葉や、ある時は生活態度で伝統が伝えられて行き、それ故、海軍でのつながりは一生涯続き、また、現在のその家族も同様に考えられている。この様な仲間が、バスの中で、又夜の酒席の中で、古い想い出話しや、現在の専門分野の話しを耳に入れ、賑やかな一時を過ごし散会するのだが、年を追う毎に、一人、二人と会員も少なくなり、病気の質問も多くなるのも止むを得ないと思った。亡くなった友や現在病に苦しんでいる友が年々増えて行く事を考えると惜寂の念にかられる。短かい二日の旅だったが、多くの古蹟を廻りながら、お互いの健康に注意し、二年后の再会を期して別れた。

海軍兵学校 五省
一、至誠に悖るなかりしか
一、言行に恥ずるなかりしか
一、気力に欠くるなかりしか
一、努力に憾みなかりしか
一、不精に亘るなかりしか
 
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