トップ会長挨拶医師会事業計画活動内容医師会報地域包括ケア介護保険について月間行事予定医療を考える集い学校保健関連

<ペンリレー>

発行日2003/09/10
永沢整形外科クリニック  永澤 雄
リストに戻る
釣り好き、食べ好き
 
 こんにちは。7月の本コラムで石垣先生から釣り師と紹介された永澤です。しかし釣り師と自分で称したことは一度もなく自信がありません。ただ下手の横好きとでも言いましょうか何度も船酔いで吐きまくってもめげることなく、次の船釣りへと挑戦し今ではほとんど酔わなくなりました。これも釣り好きがなせるものと自負しております。
 会員の諸先生方の中では釣りはマイナーな趣味のようですが釣りの楽しさの一端でも感じていただき、やってみようかなと思われる先生が一人でもおられれば幸いです。その関係上どうしても自慢話の印象がぬぐえませんのでお許しください。
 私の釣り歴は幼稚園までさかのぼります。よく釣りは鮒に始まり鮒に終わるといいますが、私も最初に釣り糸を垂れたのは鮒釣りでした。能代の川のそばで育った私を初めて釣りにつれて言ってくれたのは、家族でも親戚でもなく、父の経営していた医院の職員のKさんという方で、なかなか他人のしかも上司の幼児を川に連れていくことは勇気が要ることだったと思います。今思うとほんとうによく連れていってくれたなあと懐かしい感謝の気持ちで一杯です。ちなみに我が家の息子は私の誘いに乗ってきませんが。昔、米代川の堤防の南側にもう一つの淀んだ流れの綬やかな川があり、そこが初めて連れていかれた場所でした。小さな鮒しか釣れませんが、絶好のポイントで、休日ともなると大勢の人が集まってきたものです。その中で釣りキチ三平ごとく?釣っていたのが私でした。初めて鮒を釣り上げたときの感動は今も忘れられません。鮒はウキ釣りですが、ウキが沈むと同時に竿を合わせると鮒のブルとした小気味よい感触が伝わってきて銀色の魚体が陽に輝いていたのを鮮明に覚えております。おそらくそれに黄色い歓声?が伴っていたことでしょう。しかし幼子の楽しみも長くは続かず、母が心配してKさんにストップがかかり、その後私の釣りが復活するまで5年以上待たねばなりませんでした。そのころにはそのポイントではほとんど釣れなくなっており、河口付近でのハゼ、カレイの投げ釣り、防波堤釣りとだんだん海へと向いていきました。それは生来の食いしん坊で海の魚の方が美味しいと考えたからに他なりません。
 7年程前から海の船釣りに没頭しておりますが、そのルーツは食いしん坊にあると思います。最初の船釣りは初心者でも釣れるキスです。キスはイソメを餌とする数釣の魚で夏から秋がシーズンで、海も穏やかで船酔いがしにくく家族連れで行くのにも向いております。新鮮な釣りたてのキスを天ぷらにあげるとふっくらしてとても甘く美味しいこと。私の主観ですが、天ぷらで一番美味しいのは海老、次がキスと思っております。あと初心者向けの釣り魚としては鯵があげられます。”鯵”はサビキといって仕掛に皮や糸の付いた針が沢山ついた仕掛で釣る方法で行うのが一般的で、群れに当ると100匹はいきます。サビキ仕掛に7、8匹の鯵が鈴なりについた様は壮観です。初心者の頃は甲板に何匹もの鯵を一度に上げると鯵が跳ねて躍ってとりこむのにてんやわんやでした。鯵は塩焼きや、フライでも美味しいのですが、なんと言ってもたたきが一番でしょう。細かく刻んだ葱とシソとの相性は最高でわさびでも生姜でもいけます。ちなみに我が家の子供たちの大好物です。キス、鯵は我が家では絶対お店で買いません。釣ったばかりの新鮮な魚に勝る物はなく、おそらく買っても不満が残るでしょう。その後釣りを通していろいろな魚と接することが多くなりましたが、ついでに今まで私が釣り上げた魚の中でとくに美味しかったのは、マゴチ、メジ(クロマグロの幼魚で30cmくらい)、ハガヅオです。マゴチは2匹、メジは一度で5匹、ハガヅオは1匹だけです。ハガツオはたまたま故郷の能代沖でルアー釣り(魚の形をした疑似解)で釣ったものです。赤身の魚で持久力があってなかなかへばらず釣りあげるのに苦労いたしました。実家にもって行き刺身にして頂きましたところ、好き嫌いが激しくカレイ、鮭、マグロ、鰻しか食べれない父がペロリと平らげたのを見てとてもうれしくなりました。思わずその一部を昔幼少のころ可愛がってくれた向かいの小母さんにおすそ分けし、喜んでもらったのが釣り好きの私の最良の思い出です。今春2回目のハガヅオをおあげすることなく、亡くなられたものですから…。釣りをする人なら誰でもそうですが、釣った魚を食べて喜んでもらうのが最上の喜びです。魚をいただくことがあればオーバーにとても美味しかったといっていただければうれしくて、またあげたくなるものです。
 写真は秋田港沖で釣ったマゴチです。私は人にお見せすることは考えていなく、魚拓や写真はほとんど撮りませんが、この時はたまたま一緒に行ったF君が撮ってくれた物です。何しろ初めてのマゴチで10分程格闘し釣り上げ、得意げな表情をしております。水面に浮き出てきた時はグロテスクな魚体に驚きましたが、見ために合わず高級魚の中でもトップクラスの美味しさです。家族とおすし屋さんに持っていって刺身とすしにしていただきました。初めて食べた家内や子供も一度箸をつけたら止まらず、一家ですべて平らげることが出来ました。
 ここ2、3年は能代港から2時間かけてクロマグロねらいに九六島に行っております。今年も7月に一度行きましたがその時は残念ながら姿すら見ることなく、その代わり鯨が汐を吹いていてホエール・ウォッチングを楽しんできました…苦笑。8月に釣り仲間のF君が19Kgのクロマグロを上げ私もご相伴に預かりましたが、さすがマグロの王様で美味しいことは言うまでもなく、大トロや、なかなか市場には出ない脳天の肉、心臓など珍昧をいただきました。私は今だルアーに掛けたことは無く、やり取りすら出来ておりません。しかし、釣りを続けている限りは…と夢をもっております。
 次回は飯島に昨年若くして開業された清水先生にお願いすることといたしました。
 
 ペンリレー <釣り好き、食べ好き> から